東京高等裁判所 平成12年(行コ)140号 判決
主文
一 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
二 被控訴人の請求を棄却する。
三 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一申立て
一 控訴人
主文と同旨
二 被控訴人
本件控訴を棄却する。
第二事案の概要
事案の概要は、次のとおり付け加えるほか、原判決「事実及び理由」の「第二 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決書一六頁三行目の「本件価格」を「控訴人が主張する本件価格」に、同三〇頁一二行目の「時価」を「地価」に、同四五頁二行目の「遅らせることか」を「遅らせることが」に、同五四頁六行目の「三四条」を「四三条」に、同五六頁六行目の「価格」を「評価」にそれぞれ改める。
二 当審における控訴人の補足主張
1 「適正な時価」の算定基準日は賦課期日から評価事務に要する一定期間を遡った過去の時点に求めれば足り、平成四年七月一日を価格調査の基準日として行われた平成六年度の評価替えに違法はない。
2 将来の価格変動を確実に予測することは不可能であるから、平成六年度の固定資産評価替えの手続において平成六年一月一日までの地価の下落率を予測した土地の評価をしなかったことに違法はない。
3 平成五年一月一日から平成六年一月一日までの地価の下落率は地価公示価格と東京都地価調査価格を参考にして算出するのが適当であるところ、本件標準宅地の価格を鑑定するに当たり規準とした地価公示地(渋谷-一八)の下落率は三六・四パーセントであり、価格調査の基準日が毎年七月一日である東京都基準地(渋谷-一)の下落率は、同土地の平成四年七月一日の価格と平成五年七月一日の価格の平均値をもって平成五年一月一日の価格と推定し、平成六年一月一日の価格も前後の年の七月一日の価格の平均値であると推定してこれを算定すると三二・一パーセントとなるので、右各下落率を平均すると三四・三パーセントとなる。しかし、適正な価格とはある一点を示す固定的なものではなく、ある程度の幅(一〇パーセントから二〇パーセン卜程度)を持った価格帯に存する価格を指すと解すべきであるから、公示地等の価格の下落率が右程度に止まる場合には本件価格は平成六年一月一日における本件土地の適正な価格の範囲内にあるというべきである。仮に下落率三〇パーセントを超える場合には違法であるとしても、平成四年七月一日の標準宅地の主要な街路の価格二七二万円に平成五年一月一日までの下落による時点修正率八一・二パーセント、その後平成六年一月一日までの時点修正率六五・七パーセントをそれぞれ乗じて得られた価格に基づいて本件土地の賦課期日における適正な価格を計算すると一億〇〇六五万七五五〇円となるから、本件価格のうち右金額を超えない部分は適法である。
三 当審における被控訴人の補足主張
1 法三四九条一項が土地課税台帳等に登録する価格を「基準年度における賦課期日の価格」としていることは文理上明らかであり、賦課期日以外の日の評価額をもって賦課期日における価格とすることは賦課期日のすり替えであって違法である。
2 また固定資産税の課税標準については二重構造がとられ、実際には法の規定と異なり時価の一三パーセント水準が課税標準とされてきたのであるから、これを七割評価通達により大幅に引き上げることは課税要件を変更するものにほかならず、租税法律主義に違反する。仮に七割評価通達が適法であるとしても、その趣旨は賦課期日における価格の七割を最高限度と定めるものとみるべきであるから、これを超える価格を登録価格とすることは違法である。
3 地価が上昇している時代に作成された評価基準は地価の下落が続く平成六年ころには不合理かつ不正確な内容となり法的拘束力を失っていた(具体的には実効容積率に対応する評価基準を設けていないこと等)。また「賦課期日の価格」とは「賦課期日における適正な時価」をいい、「適正な時価」とは収益価格を意味するから、取引価格で土地の評価をすることは違法である。
4 登録価格の決定手続において平成六年一月一日までの地価の下落率を考慮することができないのであれば、控訴人の審査手続においてこの点の是正が図られるべきであり、これをしなかった原決定は違法である。
第三証拠関係
証拠関係は、本件記録中の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。
第四当裁判所の判断
当裁判所は、本件土地の価格決定に関する手続及びその内容に違法はなく被控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は次のとおりである。
一 乙四ないし七、一〇及び弁論の全趣旨によると、控訴人は原判決「事実及び理由」の「第二 事案の概要」「三 控訴人が主張する本件価格の決定の経緯及び根拠」記載の経緯と根拠に基づいて本件価格の決定をしたことが認められる。
二 争点1(都知事が七割評価通達に従って本件土地の平成六年度の評価替えを行ったことが租税法律主義に反し、違憲、違法であるかどうか)について
この点についての当裁判所の認定と判断は、次のとおり付け加えるほか、原判決「事実及び理由」中の「第三 当裁判所の判断」「一 都知事が七割評価通達に従って本件土地の平成六年度の評価替えを行ったことが租税法律主義に反し、違憲、違法であるかどうか(争点1)」に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決書六二頁一行目冒頭から同一二行目末尾までを次のとおり改める。
「1 固定資産税は固定資産の価値に着目して課税される財産税であり、土地又は建物の場合には賦課期日における当該土地又は建物の「適正な時価」を基礎として定められる課税標準に基づいて課税がされるものである(法三四九条一項、三四一条五号)。このような法の規定と固定資産税の性質からすると、「適正な時価」とは正常な条件の下に成立する当該土地又は建物の取引価格すなわちその客観的な交換価値をいうものと解するのが相当であり、収益価格を基礎とすべき旨の被控訴人の主張は法文上の根拠がなく採用することができない。そして法は課税標準の算定基礎となるべき価格を土地又は建物の客観的な交換価値とした上、税率の決定又は課税標準若しくは税額の調整によって、適正な課税を実現しようとしているものと解される。」
2 同六三頁一〇行目末尾の次に行を改めて次のとおり加える。
「 被控訴人は当審において、地価が上昇している時代に作成された評価基準は地価の下落が続く平成六年ころには不合理かつ不正確な内容となり法的拘束力を失っていた旨主張する。しかし、法が大量に存在する固定資産について評価基準に基づき定型的、統一的な評価を行うという方法を採用している以上、個々の土地を取り巻く様々な諸条件の細部にわたり比較考慮することまで予定していないというほかはない。地価の下落が続く時期には地価の高い時期にされた評価に基づいて課税がされるため納税者の不利益になるとしても、そのことは賦課期日から一定期間遡った価格調査日をもって評価を行うことに起因するものであって評価基準の定めによるものではないから、この点をもって評価基準が不合理であるとすることはできず、被控訴人が主張する実効容積率に対応する評価基準を設けていないこと等の点を考慮しても評価基準が不合理な基準であるとすることはできない。したがって、被控訴人の右主張は採用することができない。」
3 同六四頁一二行目の「時価」を「地価」に改め、同六五頁一三行目冒頭から同六六頁八行目の「というものは」までを次のとおり改める。
「 右のとおり七割評価通達は土地基本法一六条の趣旨及び総合土地政策推進要綱の定めを受けて依命通達を改正する趣旨のものであったが、そのことは同時に従前の課税実務を賦課期日の適正な時価を基礎として課税を行うとする法の定めに近づける結果をもたらすものでもあった。
4 ところで、法は固定資産税の課税標準を賦課期日における固定資産の適正な時価とする旨定めているが、後記のとおり賦課期日の固定資産の価格を調査して固定資産税の課税を行うことは事実上不可能であり、条文上もこれを実現する方法は規定されていない。また賦課期日の固定資産の価格を予め想定して課税標準とすることは、将来の価格の予測を行うことにほかならず、そのようなことは鑑定評価の手法として困難であり、仮に予測するとしても不確実なものにならざるを得ないばかりでなく、そのような不確実な予測に基づいて課税を行うことは固定資産税の課税制度を不安定なものとすることになることを考えると、右のような方法によることは法の趣旨に反するといわなければならない。そうすると、法の趣旨と規定を踏まえて課税を行うについては、賦課期日から評価事務に要する相当な期間を遡った時点を価格調査の基準日として評価を行わざるを得ず、法はこのような方法により土地を評価して固定資産税を課することを許容していると解される。その場合には評価された価格と賦課期日の価格との間に乖離が生ずることが当然に想定されるから、評価された価格が賦課期日の価格を上回ることがないよう控えめな評価を行うこともまた法の許容するところといわなければならないし、課税の謙抑性やその他の政策上の要請に基づいて固定資産の時価の一定割合をもって固定資産の価格とすることも、これを違法として否定するまでのものではないと解される。
また、土地の客観的な交換価値は」
4 同六七頁一一行目の「法の趣旨に沿うものであり」を「従前の課税実務を法の定めに近づけるという点において法の趣旨に沿うものであり、評価された価格が賦課期日の価格を上回ることがないよう控えめな評価を行うことも法が許容するところであるから」に改める。
5 第一審原告は、固定資産税については法の定めとは別に固定資産税の課税標準の算定基礎となる土地の価格が客観的な交換価値の一三パーセント程度に抑えられるという二重の構造が採られていたから評価割合は重要な課税要件となっているとして、これを通達により変更することは租税法律主義に違反すると主張し、当審においても同様の主張を繰り返している。しかし、右のように土地の価格が低く抑えられていたのは、地価の上昇に見合った評価の引き上げ(ひいては課税標準の引き上げ)が十分できない状況にあって、土地の評価を引き上げる一方で税率を下げる等の法的な措置により実情に見合った課税を実現することなく、行政実務により法の規定と異なる低い評価を行い課税標準を低く抑えてきた結果であって、法が本来予定するところではなく、右のような低い評価が長期間行われていたことにより法の規定が実質的に変更されたとも、右行政実務が法的な規範性を獲得(その場合には二つの矛盾する法規範が併存することになる。)したともいうことはできない。そして七割評価通達の実施は、法の趣旨に反するそれ以前の行政実務を法の定めに合致する方向に是正変更するための行政上の措置であって何ら新たな立法をするものではないといわなければならないから、右変更をもって租税法律主義に違反するということはできない。
三 争点2(都知事が本件標準宅地の価格の評定に当たり時点修正通知に従ってした価格調査基準日の設定が評価方法として違法かどうか)について
被控訴人は、平成五年一月一日における価格をもって賦課期日(平成六年一月一日)の価格とすることは違法であると主張する。
1 法は市町村長による登録価格の決定を基準年度に係る賦課期日の約二か月後に当たる二月末日までに行うべきものとしている(法四一〇条)。しかし、大量に存する固定資産の「適正な時価」を評価する諸手続には相当の期間を要するから、法が定める右期間内に賦課期日の固定資産の価格を調査して登録価格を決定することは事実上不可能であり、右期間内に土地の価格調査や評定事務を行うことを予定しているとみられる規定は存在しない。そうすると、法は賦課期日からこれらの価格調査及び評定事務に要する相当な期間を遡った時点を価格調査の基準日として評価を行い、これに基づいて登録価格を決定して固定資産税を課することを許容しているものと解さざるを得ない。
2 これに対し被控訴人は、法は評価手続が遅延するような特別な事情がある場合には課税台帳の縦覧時期を遅らせたり固定資産税の納期を遅らせることを認めており(法四一五条一項ただし書き、三六二条一項ただし書き)、これが法の定める枠組みであるから、評価時期を遡らせることは実質的に賦課期日を変更するもので違法であると主張する。しかし、法の右規定は個別例外的な措置を定めたものであるから、この規定があることをもって被控訴人の主張の根拠とすることはできないし、法が賦課期日後に固定資産の価格を調査して登録価格を決定する方法をとっていないことは前記法の規定に照らして明らかである。被控訴人の右主張は採用することができない。
3 そうすると、平成六年度の固定資産(土地)の価格評定事務について平成四年七月一日を価格調査の基準日として土地の価格調査と評定がされたことは適法であり、時点修正通知により平成五年一月一日時点の地価動向をも勘案して地価変動に伴う修正を行うべきものとしていることも、地価の下落が激しい時期における適正な課税を図るために採られた措置であって平成四年七月一日を基準とする価格を賦課期日である平成六年一月一日の価格により合致させる効果をもたらすものであるから、もとより法に違反するものではない(事務手続に要する期間を考えると、時点修正の時期が賦課期日から一定期間遡った時点とされることもやむを得ない。)。
4 もちろん、右のような方法により評価額を賦課期日の土地の時価に近づける措置が施されたとしても、これにより賦課期日の土地の時価を捕捉できるものではないから、地価の下落が激しい時期には時点修正を施して評価した価格が賦課期日の土地の適正な時価を上回って違法な結果となることがあり得るが、法が賦課期日経過後に固定資産の価格調査をして課税を行う方法をとっていない以上、そのような問題は当然に予期される事態であるといわなければならず、これに対しては土地の評価額を低く抑えること等によって対処することが可能であり、前記のとおり結果的には七割評価通達によりこの問題の手当てがされている。
5 地価の下落により違法の問題が生じないようにするための方法としては賦課期日における固定資産の価格を予め予測して固定資産税の課税を行うことも考えられるが、そのような予測に基づく土地の評価は鑑定評価実務上予定されていない上、課税方法としても不確実な予測に基づくものであって適切とはいい難く、法の許容するものとはいえない(原判決のように平成五年一月一日から平成六年一月一日までの地価の下落率を推測して評価を行うことも同様である。)。また事前の価格調査の結果に基づいて登録価格を決定して土地課税台帳等に登録した上、賦課期日経過後に再度評価を行って課税し直すようなことも、課税庁に過大な負担を負わせ課税実務を困難にするものであって法の予定するところではない。右の見地からすれば当審における第一審原告の主張4は失当である。
以上のとおりであるから、被控訴人の主張は採用することができない。
四 争点3(都知事が本件標準宅地の評定に当たり前提とした鑑定評価が適正であるかどうか)について
この点についての当裁判所の認定と判断は、原判決書七九頁五行目の「基準価格」を「規準価格」に改めるほか、原判決「事実及び理由」中の「第三 当裁判所の判断」「三 都知事が本件標準宅地の評定に当たり前提とした鑑定評価が適正であるかどうか(争点3)」に記載のとおりであるから、これを引用する。
五 争点4(都知事が評価基準等に従ってした本件土地の正面路線等の路線価の付設及び画地計算に関する違法の有無)について
この点についての当裁判所の認定と判断は、原判決書八〇頁一〇行目冒頭から同八一頁一行目末尾までを次のとおり改めるほか、原判決「事実及び理由」中の「第三 当裁判所の判断」「四 都知事が評価基準等に従ってした本件土地の正面路線等の路線価の付設及び画地計算に関する違法の有無(争点4)」に記載のとおりであるから、これを引用する。
「(一) 本件標準宅地は、渋谷区神宮前四丁目一七番二七号(住居表示では四丁目一七番六号)に所在する土地であるところ、右所在地及び甲一、乙五、二一によると、乙一四(意見書)に示された標準宅地の位置は、本件土地に関する標準宅地(本件標準宅地)の位置ではなく、本件土地と同時に審査の申出がされた被控訴人所有地(東京都渋谷区神宮前四丁目七番一六)に関する標準宅地(渋谷区神宮前四丁目五番二所在)の位置を記載したものであることが認められる。そして、甲七(原告の宣誓供述書)のうち、本件標準宅地は商店として使用され本件土地とは利用状況が異なるとする部分は、右の誤った基準宅地を前提としたものであることがうかがわれるから、これを採用することはできない。」
六 争点5(本件土地の平成六年度の賦課期日における適正な価格をいくらとすべきか)について
1 本件土地の平成六年一月一日における適正な価格を直接認定できる証拠はないので、右価格は本件土地の平成五年一月一日における価格に同日から平成六年一月一日までの地価下落率による修正を施す方法により判断するほかないが、本件土地の価格の下落率を直接明らかにする証拠もないから、付近若しくは規準とされた公示地(基準地)の地価公示価格、東京都地価調査価格やこれらの土地、本件標準宅地及び本件土地の相続税路線価等を参考にして右下落率を間接的に推認する方法により本件土地の平成六年一月一日における適正な価格を判断するのが相当である。弁論の全趣旨によると本件標準宅地の価格を鑑定するに当たり規準とした地価公示地(渋谷一八)、東京都基準地(渋谷一)の価格と下落の状況、右地価公示地、東京都基準地、本件標準宅地及び本件土地の相続税路線価の価格と下落の状況は原判決別表「地価下落率表」記載のとおりであることが認められる。右によると地価公示地(渋谷-一八)の下落率は三六パーセントであり、価格調査の基準日が毎年七月一日である東京都基準地(渋谷-一)の下落率も、平成四年七月一日の価格と平成五年七月一日の価格の平均値をもって平成五年一月一日の価格と仮定し、平成六年一月一日の価格も前後の年の七月一日の価格の平均値であると仮定してこれを算定すると約三二パーセントであって、これらを平均すると三四パーセントの下落率となり、前記各土地の相続税路線価の下落率は三六パーセント又は三七パーセントであることから、本件価格が賦課期日における本件土地の適正な時価を超えていると見る余地もある。しかし、前記のとおり土地の価格形成要素には様々なものがあってその適正な時価を一義的に把握することは困難であり評価には一定程度の誤差がつきものであることからすると、右のように参考として検討した公示地等について三四パーセント程度の下落がみられ、相続税路線価でみても三六ないし三七パーセントの下落が生じているとしても、そのことから直ちに本件価格が賦課期日の本件土地の適正な価格を超えていると即断することはできない。かえって、本件価格が評価基準に従って評価された結果に基づくものであることや参考とした公示地等の下落率が右程度に止まっていることに鑑みると、本件価格は平成六年一月一日における本件土地の適正な時価を超えるものではないというべきである。
2 被控訴人は、仮に七割評価通達による評価が許されるとしても、右割合は評価の上限を示したものであるから、賦課期日の時価の七割の水準を上回る評価は違法であると主張する。
しかし、七割評価通達の実施は法の趣旨と乖離していた従前の行政実務を法の定めに合致する方向に是正変更する行政上の措置にすぎず、法の規定を実質的に変更するものでも、法と同価値の規範性を獲得するものでもあり得ないから、右通達により時価の七割という評価の上限が法的な規範として設定されたとみることはできない。
もっとも、七割評価通達に基づいて評価時の時価の七割の価格をもって課税台帳に登録して課税を行った場合、平成五年一月一日から平成六年一月一日までの地価の下落率が一〇パーセントの地域では賦課期日の時価の八割弱の評価で課税がされるのに、下落率が三〇パーセントの地域では賦課期日の時価の一〇割の評価で課税がされるということが考えられる。しかし、このような差異は賦課期日から遡った時点を価格調査の基準日として評価を行う以上必然的に生ずる結果であり、地価が下落する時期のみならず地価が上昇する時期にも生ずるものである上、特定の土地について必ず不利益が生ずるというような性質のものではないから、右評価に係る価格が賦課期日の適正な時価を上回らない限度において法が容認するものといわなければならず、これをもって評価の違法とすることはできない。
七 以上によれば、本件価格は賦課期日の適正な時価の範囲内にあり、被控訴人が主張する評価上の違法もこれを認めることができないから、被控訴人の審査の申出を棄却した本件決定は適法である。
第五結論
よって、被控訴人の請求を一部認容した原判決は不当であるから、原判決中控訴人敗訴部分を取り消して被控訴人の請求を棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六七条二項、六一条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 新村正人 裁判官 宮岡章 裁判官 田川直之)